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新生「すみだモダン」初の認証式、「2022ブランド認証」を開催!

2023.05.29
新型コロナウイルス感染症に対する規制が緩和され始めた2023年3月16日、2022年度に新たに「すみだモダン」に認証された活動を実践する事業者が集い、約4年ぶりとなる「ブランド認証式」が行われた。ブランド認証を受けて「すみだモダンブルーパートナー」の称号を手にした事業者は、果たしてどのような活動を行い、どのようなものを世に送り出しているのだろうか。
ブランド認証式に出席した審査員は、IMA代表取締役・水野誠一氏(理事長兼審査員、前列右から3番目)、GKデザイン機構 代表取締役社長・田中一雄氏(副理事長兼審査員長、前列左から3番目)、ヒロタデザインスタジオ代表取締役・廣田尚子氏(理事兼審査員、前列右から2番目)、MASAMI DESIGN代表取締役・髙橋正実氏(審査員、前列左から2番目)、ジェネレーションタイム代表取締役、エシカルディレクター・坂口真生氏(審査員、前列右から1番目)、墨田区産業観光部長・郡司剛英(理事兼審査員、前列左から1番目)の6名。そのほかブランド認証を受けた事業者の皆さん。

「すみだモダンブルーパートナー」とは

ブランド認証式の会場となったすみだ北斎美術館。

東京スカイツリーの誘致決定をきっかけに、墨田区では江戸から続く「ものづくりのまち」としての産業ブランド力を国内外にPRする目的で、「すみだ地域ブランド戦略」を2009年から開始。すみだらしさをもつ商品や飲食店メニューをブランド認証し、その価値を国内外に伝えてきた。

ブランド認証の事業スタートからおよそ10年の間に、事業者や消費者を取り巻く社会的・経済的環境にも変化が訪れると、「すみだ地域ブランド戦略」も「商品」だけではなく、「商品」のバックグラウンドにある事業者の「活動」にもその対象範囲を広げ、光を当てる方向へと舵を切ることとなった。

2021年9月からは事業名称そのものを「すみだモダン」としてリニューアルし、社会的に価値ある事業者の「活動」とそれに関連する「商品」をブランド認証していくことにした。認証された事業者は、「すみだモダン」を実践する事業者=「すみだモダンブルーパートナー」としての活動が可能となる。

「すみだモダン」の定義は「ものづくりを通して、未来のスタンダードを創造し、人々の幸せを育む活動」。その活動は、以下の4つの理念に基づいている。

1つ目は未来への約束を果たす「持続可能性」。2つ目は知恵を集めて新しい価値を創る「共創性」、3つ目は粋な視点と遊び心を大切にする「独自性」、そして4つ目はさまざまな人の幸せなつながりを育む「多様性」だ。

新しいブランド認証はこの4つの理念との合致度を基準に選定を行っており、活動が「すみだモダン」になると、それを実践する事業者は区と共に「ものづくりのまちすみだ」のブランド力向上と魅力を発信する親善大使的な役割を担う「すみだモダンブルーパートナー」に選定される。その特典として、専用のロゴマークを使用できるほか、区が実施する展示会や各種広報媒体などでの優先的な取り扱いを受けられるようになる。

2022年度受賞者のポイントとは

はじめに、公務により出席が叶わなかった山本 亨墨田区長にかわり、郡司剛英 墨田区産業観光部長より祝辞が代読され、認証式がスタートした。

2022年度の公募期間は11月から12月にかけて。この間に「ものづくり」の会社が「ことづくり」で応募したり、伝統の技を守り高く評価できるレベルを長く伝え続けている企業であったり、先進的技術で社会に貢献している企業であったりと、多様なジャンルの企業から応募があった。

ファッション業界で長きにわたり審査活動を経験している坂口真生審査員は「ゆうに数千を超えるブランドさんを見てきているのでわかるのですが、今回の審査では、審査資料に書いてある皆さんのコメントや墨田区の方の姿勢から、非常にエネルギーと熱意を感じました。ブランド認証が10年以上続いてきたというのは、こういうところに価値があり、皆さんが審査に対して思い入れがあるのだと実感しました」と語る。

2023年1月の「すみだモダンブランド認証審査会」による最終審査を経て、「すみだ地域ブランド推進協議会 理事会」にてその結果が認証された。

「企業の存在目的が利益の特大化ということだけではもはや成立しない時代になっているなかで、社会で必要とされていることをどう作っていくのかが大切です。社会というものに対して夢をもたない限り、市場からも向き合ってもらえないという時代を迎えているなかで、その活動自体が今日の社会にとって正しく必要性の高いものであるのかどうか、という観点から選ばせていただいた」と振り返るすみだ地域ブランド推進協議会の田中一雄副理事長兼審査員長。

その結果今回は、延べ16の事業者による13の活動と、その関連商品が認証された。評価のポイントは「持続可能性」「共創性」「独自性」「多様性」があるかどうか。これは「すみだモダン」の理念にどれだけその活動が合致しているか、ということでもある。

すみだ地域ブランド推進協議会の副理事長兼審査員長の田中一雄さん(GKデザイン機構 代表取締役社長)

多岐にわたる事業者からの高レベルな応募が多数!

応募件数に比べ、合格件数が非常に多かったという今回の認証について、廣田尚子理事兼審査員は「掛け値なしに審査員がいいところをいろいろ選んで見ていったら、こういう結果が出たということ」と、各事業者の力のレベルの高さを称賛した。

今回受賞した事業者活動に多く共通していたのは「持続可能性」だ。

すみだモダンブランド認証審査会の審査員の髙橋正実さん(MASAMI DESIGN代表取締役)

髙橋正実審査員は「もともと江戸時代から職人の技術や心意気にSDGsが根付いていたこの土地柄で、皆さんはもともとSDGsの意識であった会社さんが多いと思います。やっと時代が皆さんに追いついてくれた、そのタイミングでちょうど新生すみだモダンがスタートし、これから皆さんが第1回目認証者として、多くの方々に意識される存在になっていかれるのだと思います。それは江戸のころから最先端のものづくりのまちとして国内外から注目されてきました、この地の持つ役割でもあると私は認識もいたしています。皆様のご経験やお仕事が地域全体へもつながりますようにと願っています」と祝辞を述べた。

すみだモダンブランド認証審査会の審査員の坂口真生さん(ジェネレーションタイム代表取締役、エシカルディレクター)

専門がエシカル、サステナブルファッションだという坂口真生審査員は「皆さんの事業活動を見ていると非常にサステナブルなところに通じるものがあります。僕はこのサステナブルなマーケットがこれから主流になると信じて活動しているので、今回の皆さんの活動は非常に可能性があると思っています。それをどうやってPRしてマーケティングに乗せていくかがこれから重要になってきます。国レベルで動いている活動でもあるので、世界のマーケットも非常にそこを見ています。そうしたところまで皆さんもイメージして今後動いていただけるとよいのではないか。私にできることがあればと思っています」と協力を約束した。

すみだ地域ブランド推進協議会の理事兼審査員の廣田尚子さん(ヒロタデザインスタジオ代表取締役)

「ぜひ皆さん、この認証をPRに使ってください」と廣田尚子審査員が続ける。

「応募用紙に書かれた内容を少しアレンジしてPRの言葉に変え、認証されましたという結果と共に使ってください。それをどう売り上げや認知度の向上につなげ、今後会社がさらに50年続くようにするための作戦を立ててください。そして皆さんはブルーパートナーということで身内、仲間です。ぜひブルーパートナーの皆さんで相談しながら次の新しいすみだのPRを始めていけたら。できるお手伝いはなんでもしたいと思っていますのでどうぞ皆さんよろしくお願いいたします」

「多様性」と「持続可能性」という大きな二つのテーマの実践の場

すみだ地域ブランド推進協議会の理事長兼審査員の水野誠一さん(IMA代表取締役)

最後に水野誠一理事長がこのように締めくくった。

「墨田区のブランドを世に知らしめていくための『すみだモダン』が認証事業を10年続けてきましたが、さらに成熟度を高め、時代の要請に応えていけるような活動を墨田区の次なる10年のテーマにしようということで、今回の認証が始まりました。大切なのは今、廣田さんがおっしゃっていた多様性ということですね。これだけ立派な事業者さんがいらっしゃる。その方たちが勝手に、自分たちだけでものを作っていくという時代はこれからはない。それぞれの企業さんが力を合わせて、多様性のなかで新しいものづくり、ことづくりに挑戦するということが重要になってくると思います。もうひとつは先ほど坂口さんがおっしゃっていたサステナビリティ=持続可能性ですね。商品がどんどん作られ、廃棄され、経済が回っていたのが20世紀の経済だったと思うのですが、21世紀はそこから受けている矛盾が本当に大きな問題になってきている。ゴミをどう処理するのか、あるいは環境問題をどういうふうに経済と両立させるのか。『多様性』と『持続可能性』という大きな二つのテーマを実践の場として実現できるのが、まさに『すみだモダン』の性格ではないかと思います。これからそうしたことを本気でやって成熟度を高めていくという新しい10年ですから、今日は皆様にとってゴールではなくて、これがスタートであるとお考えください。ご一緒にわくわくするようなものづくりことづくり、そして発信をやっていきたいと思っています。そして今日皆さんお互いに初めてお会いになる方もいらっしゃると思いますが、名刺交換で終わってしまうのではなく、ぜひとも何か一緒にやりましょうという活動に、さらに熟成を深める機会としていただけたらと思います」

2022年度の「すみだモダン」認証活動と事業者名

事業者名/株式会社大関鞄工房

認証活動名
「革の魅力を伝えながら、長く愛される鞄を作り続ける活動」

認証商品
「世界で一つだけのショルダーバッグ」「世界で一つだけのショルダーバッグ キット」「コードクリップ」「革ケース」

評価ポイント
革の歴史や素材としての価値、革にもともとキズがある理由などの丁寧な説明も行い、物を長く使い続ける心を育む活動として10年も継続している。鞄づくりを通して墨田区の産業やSDGsを伝えることで、多くの人の知的好奇心を高め、人々の交流促進にも寄与している。

事業者名/一般社団法人やさしい革、株式会社牧上商会

認証活動名
「駆除獣皮の資源化と新たな消費文化の形成を目指し、鹿革ジャンパーを製造する活動」

認証商品
「レザー・サーカス鹿革ジャンパー」

評価ポイント
全国のジビエ肉加工所と区内外の製造事業者という広域での連携事業でもあり、商品の製造以外にもセミナーや工場見学なども行っている。これまで活用が十分ではなかった鹿の皮を新たな価値ある製品へと生まれ変わらせ、それを手にする消費者だけでなく、地方のハンターや加工所の人々も含めて、意識改革や共感をもたらすものといえる。

事業者名/株式会社アイエスゲート

認証活動名
「X線検査支援システムを開発・普及し、がん検診の受診率を向上させる活動」

評価ポイント
開発責任者が診療放射線技師として医療現場に従事していた経験と、大学院で人間の意思疎通に関する研究を行っていた実績をもち、内閣府からのユニバーサルデザイン功労者表彰の受賞のほか、国立研究開発法人の情報通信研究機構からも情報バリアフリー事業として5年連続で最高評価を得ている唯一のものでもある。

事業者名/松山油脂株式会社

認証活動名
「釜焚き製法の伝統を受け継ぎ、信頼される石鹸・洗浄製品を作り続ける活動」

認証商品
「Mマークシリーズ」

評価ポイント
1946年から続ける釜焚き製法で作られた「Mマークシリーズ」の石鹸は、グリセリンが自然に溶け込み、肌のツッパリ感を和らげる特徴があるという。その商品価値はすでに広く知れ渡っており、製造活動もほぼすべての項目ですみだモダンの理念と合致している。

認証活動名
「5つの『RE』の想いを込めて、石鹸等をアップサイクルする活動」

認証商品
「REES:PRODUCTS」

評価ポイント
一度流通したものは廃棄することが通例となっていることを問題視し、それらをアップサイクルする新たな領域にチャレンジしている。280人以上の社員を抱える企業でありながら、存分に発揮されるスピード感とそれを実現する社員の意識改革などの取り組みにも触発され、追随する他事業者が出現することも期待できる。

事業者名/UnCafeSucre株式会社

認証活動名
「珈琲で豊かな人生を導く『Coffee Conductor “Sumida”』としての活動」

評価ポイント
珈琲を軸に商品開発や人材育成、プロモーション活動など、様々な取り組みを実践している。優れた行動力とコミュニケーション力を発揮し、他業種の事業者と連携した事例も数多くあり、日本初の国内加工による「デカフェイノセントコーヒー」を開発した実績は特筆できる。

事業者名/精巧株式会社、株式会社二宮五郎商店、ウィンスロップ株式会社

認証活動名
「粋と職人が息づく墨田で生まれたファクトリーブランド『IKIJI』の活動」

認証商品
「TPSスウェット」「プルオーバーパーカー」「ZIPパーカー」

評価ポイント
区内外の事業者が連携し、統一ブランドを展開している稀有な活動である。特に海外からの反響も大きいことを踏まえると、その品質と製造技術は確かなものと評価できる。11年間継続している活動であり、直営店舗での販売やEC の活用、国内外での催事・展示会などのメディアプロモーションの手腕やブランドコンセプトの企画力には一目置くものがあり、数多くの実績がある。

事業者名/株式会社和興

認証活動名
「人にも地球にもやさしい『和紙』100%素材のアパレル製品を製造する活動」

認証商品
「自社開発WASHI-TECHシリーズ Tシャツ、ストール」

評価ポイント
アパレル業界は、コットンの農薬問題や大量生産による資源の消費など、環境負荷への影響が大きいという自覚を強くもっており、その想いの先に行き着いたのが今回の活動である。フィリピンに自生する植物由来の糸を使用していること、独自の技術を駆使して通常の5倍もの時間と手間をかけて製造していること、適量生産に努めていることなど、課題に対して取り組む姿勢と内容が首尾一貫している。

事業者名/岩澤硝子株式会社

認証活動名
「溶融窯を維持し続け、職人の手作りによるガラス製品を製造する活動」

評価ポイント
区内で唯一、都内でも極めて限られたガラス製造工場のうちの一つである。溶融窯は常に火を焚き続けなければ、それを構成するレンガの膨張を保つことができず、窯全体崩れてしまうため、24時間365日の監視による維持を行っている。設備の維持管理の厳しさや企業そのものの希少性なども踏まえ、独自性・多様性・積極性を高く評価できる。

認証活動名
「自動車の窓ガラスや自社の規格外ガラス製品をアップサイクルする活動」

評価ポイント
現代では、使い終わったガラス製品は利活用しづらく、粉末にして土に埋めて廃棄することが一般的である。本事業者は、特定の事業者から成分比率が一定の基準内にあるガラスを仕入れることで、アップサイクルを実現している。業種間を越えた取り組みであるほか、新たな領域にチャレンジする姿勢が高く評価できる。

事業者名/株式会社サクラワクス

認証活動名
「山野の恵を有効資源化し、自然環境に配慮した革の手入れ用品を製造する活動」

認証商品
「Leather-shampoo(柚子の香り、フローラル石鹸の香り)」

評価ポイント
獣害として駆除されたエゾ鹿の革や油脂の活用事例は、近年少しずつ増えてきているが、油脂の区内での活用事例は今のところほかに確認できていないことから、一定の新規性は認められ、革や油脂を扱う事業者同士という本区ならではの連携事業である。今後、活動の幅やストーリー性に奥深さが生まれることも期待できる。

事業者名/株式会社すみだ珈琲

認証活動名
「コーヒーを最後まで無駄にせず、有機質肥料へと生まれ変わらせる活動」

認証商品
「コーヒーから生まれた地球環境にやさしい有機質肥料」

評価ポイント
業界や消費者の意識改革に寄与するものと考えられ、肥料の区内での活用を自ら広めている点についても評価できる。提携農家がこの肥料で栽培した野菜を自らが仕入れてスイーツを作り、テスト販売した実績もあり、今後活用事例を広めることでストーリー性をさらに高め、幅広い活動になることが期待できる。

事業社名/有限会社磯貝商店

認証活動名
「独自の伝統技法による鳶職作業着等を製造する活動」

認証商品
「手甲(てっこう)」「脚(きゃ)絆(はん)」「シャツ」「ズボン」「トートバッグ」

評価ポイント
鳶職作業着の製造業界で、先代からの独自の製造技術を継承し、「鳶職作業者と言えば種田」のブランドを確立させ、現在もそれが業界での文化・風習に根付いている。SDGs の考え方や現代のニーズを取り入れ、染色の誤差で規格外となっていた自社商品を利活用し、なおかつシャツやトートバッグといった新たなカテゴリへの商品開発を行っている点を高く評価できる。

認証を受けることができた事業者の想い

「今回の公募がモノではなくコトであったため『ものづくりのまち』として伝統のある墨田区の企業でも、ITの分野で頑張っているということを知ってもらいたいという思いで応募しました」と語るのは株式会社アイエスゲートの宮田 充さんだ。

「我々は主にがん検診を誰もが安心して受けることができる仕組みというものを研究開発しているのですが、実際に受診していただかないことには命が救えないため、受診してもらうにはどうしたらよいのかという活動もしています。そうした活動も含めて多くの方に知っていただければと。実はすでに東京都や内閣府でも評価をしていただいた活動なので、今回地元の墨田区からの評価をいただけて、ようやく安心したところです」と笑顔に。

「認証式に参加して思ったのは、少なくともこの『すみだモダン』の認証をいただいた方々のがん検診受診率を100%にしたいということです! 誰もががんにかかる可能性がある昨今、一生懸命に仕事をされていらっしゃる方々が命を落としてしまうと、せっかくの活動がそこで途切れてしまいます。それはその方のご家族だけでなく墨田区にとっても大きな損失だと思いますので、まずはブルーパートナーの方々に、墨田区の中でも100%受診していただいて、そのブルーパートナーの方のご家族やご友人も、国が定めた5つの検診(胃がん、肺がん、乳がん、大腸がん、子宮頸がん)を受けていただき、これらは早く見つければ治るということを墨田区から全国に発信していっていただきたいと思っています」と抱負を語ってくれた。

「種田の足袋」で知られる株式会社磯貝商店の門田匡陽(もんでん まさあき)さんは「家業としては代々鳶職の方の専門の作業着をひとつひとつ丁寧に、品質第一を念頭に作ってきました。消耗品としてではなく、長くそれを着ることがプライドになるようなものづくりを心がけていて、おかげさまでうちの商品を着ていると日当が上がるというような話も耳にします。そこで、ひょっとしたらこのやり方は今の時代に即しているのではないか、それをぜひアピールしたいと思いました」と応募の理由を語る。

「認証を受けることができてとても嬉しかったです」と語る門田さんに「門田くんが入って、今まで作っていたものをうまく使って新しいものを世に出していけるようになりました。例えば在庫をトートバッグにアレンジして、再評価につながっているのです」と親方の磯貝慶二さんも嬉しそうだ。

「今後もうちが培ってきた技術を応用したもので、鳶職以外の方、若い方、世界の方に通用する日本のものづくりを品質で勝負していきたいという気持ちがあります」。門田さんの目は未来を見据えている。

10年越しの「すみだモダン」ブランド認証

「もともと私は10年前にも同じもので『すみだモダン』に応募していました」と打ち明けてくれたのは大関鞄工房代表取締役の大関敏幸さんだ。

応募していなかったのですが、今回たまたま活動に焦点を当てるということを知って」と大関さん。説明会を聞きに行くと、ちょうど自分たちがやっている活動にぴったりの内容だとわかり、応募を決めたという。

「私たちは4歳から大人まで自分でバッグを作ってもらう活動を行っています。特に小さい子にはファーストバッグとして、子どもが初めて大人と同じように革のバッグを持つ機会になっています」と大関さん。

自分がデザイナーとなって材料を選び、自分が作家となって平らなものから立体的なものを作り上げた唯一無二の鞄には自然と愛着が湧くものだ。

「自分で作ったものはちょっと歪んだりしても長持ちさせたいと思いますよね。ですから私たちもこの鞄をずっと使ってくれたらいいなという思いでパーツの交換なども行っているのです」

こうした活動が評価され、認証を受けた感想を伺うと「感無量で身の引き締まる思いです」という言葉が返ってきた。

「今一番伝えたいのはスタッフたちです。彼らの力を借りてスカイツリーで職人のインスタライブをしたこともありますし、コロナでお客さんを呼べなくなってからは鞄づくりのキットを作って全国に販売し、パンフレットにあるQRコードからYouTubeで作り方を見られるようにするなど、彼らと共に10年頑張ってきたからです。鞄づくり体験を始めた当初に参加してくれた子が大人になり、自分の子どもを連れて参加してくれたら大成功ですね。それを目標にあと10年頑張りますので」

大関さんは続けて「すみだモダンブルーパートナー」としてやってみたいことも教えてくれた。

「先ほど審査員の方から多様性という言葉も聞きました。今は革の組み合わせだけなのですが、『すみだモダンブルーパートナー』の皆さんはさまざまな素材を扱っていらっしゃいます。繊維や木材など、何かここに皆さんのものを入れ込めるようにして、世界でひとつだけのバッグを作りたいですね。そうして出来上がったバッグを見た人との会話が始まり、だんだんと話題を呼ぶというのも、すみだの宣伝になるのではないかと思っています」

会場には2022年度の「すみだモダン」認証活動がパネルで展示された。

「すみだモダン」に認証されたコトとモノを伝える

今回、すみだモダンに新たに仲間入りした活動と関連商品は、ものづくりの発信拠点であるコトモノミチat TOKYOで2022年3月18日から3月31日に行われた「2022ブランド認証展」で紹介された。

Text: Masami Watanabe
Photo: Sohei Kabe
Edit: Katsuhiko Nishimaki, Chiaki Kasuga / Hearst Fujingaho
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