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構想

墨田区のブランド認証事業「すみだモダン2023」が決定!

2024.05.24
墨田区が、社会的価値のある事業者の「活動」とそれに関連する「商品」をブランド認証する「すみだモダン」。2023年度は延べ8事業者による9つの活動が選ばれ、去る3月18日に墨田区産業共創施設「SUMIDA INNOVATION CORE」にて認証式が行われた。式の様子と、今回認証を受け「すみだモダンブルーパートナー」となった各事業者の活動を紹介する。
ブランド認証式に山本亨墨田区長(前列左から4番目)をはじめ7名の審査員が出席。IMA代表取締役・水野誠一氏(理事長兼審査員、前列右から4番目)、GKデザイン機構 代表取締役社長・田中一雄氏(副理事長兼審査員長、前列左から3番目)、MASAMI DESIGN代表取締役・髙橋正実氏(審査員、前列左から2番目)、GENERATION TIME代表取締役、エシカルディレクター・坂口真生氏(審査員、前列右から2番目)、東京東信用金庫 理事長、中田清史氏(審査員、前列右から3番目)、国立大学法人 千葉大学教授、デザイン・リサーチ・インスティテュート センター長、植田憲氏(審査員、前列右から1番目)、墨田区産業観光部部長・郡司剛英(理事兼審査員、前列左から1番目)。後列は、ブランド認証を受けた事業者の皆さん。

「すみだモダン」と「すみだモダンブルーパートナー」

江戸時代から続く「ものづくりのまち」墨田区では、東京スカイツリーの誘致決定を機に、その産業ブランド力を国内外に伝えるための活動を開始した。

2009年には「すみだ地域ブランド戦略」がスタート。その一環として、すみだらしさをもつ商品や飲食店メニューを「すみだモダン」としてブランド認証し、ものづくりの実力とブランド価値を広く認知してもらうためのPRを行ってきた。

2021年9月からはその戦略活動の名称を「すみだモダン」としてリニューアルし、「商品そのもの」だけでなく、「商品のバックグラウンドにある事業者の活動」にも着目した産業プロモーションを推進中だ。

墨田区が定義する「すみだモダン」とは、「ものづくりを通して、未来のスタンダードを創造し、人々の幸せを育む活動」のことだ。未来への約束を果たす「持続可能性」、知恵を集めて新しい価値を創る「共創性」、粋な視点と遊び心を大切にする「独自性」、様々な人の幸せなつながりを育む「多様性」という4つの理念と、事業者の「活動」との合致度を基準に、「すみだモダンブランド認証審査会」において審査を行う。

こうして認証を受けた事業者は「すみだモダンブルーパートナー」となり、専用のロゴマークを使用できるほか、区が実施する展示会や各種広報媒体での優先的取り扱いを受けられる。

また、「すみだモダンブルーパートナー」は、墨田区とともに「ものづくりのまちすみだ」の産業を盛り上げ、ブランド力向上のための取組を行っていく。

「すみだモダン2023」認証活動と事業者名

事業者名/株式会社ファーメンステーション

https://fermenstation.co.jp/

認証活動名
「独自の発酵技術で未利用資源を活用し、サーキュラーエコノミーを構築する活動」

認証商品
オーガニックスキンケアFERMENSTATION、お米とリンゴの除菌ウェットティッシュ、MUSUBIシリーズ

認証活動
休耕田や耕作放棄地を活用して栽培した有機米、果物の搾りかすや食品ロス/ウェイストの未利用資源を、独自の発酵技術で付加価値ある原料や素材へアップサイクルする活動。

評価ポイント
独自の発酵技術で未利用資源を再生・循環させる仕組みを構築し、価値あるものへと転換していく活動であり、社会への提言も行っている。

事業者名/株式会社二宮五郎商店

https://www.ninoworks.com/

認証活動名
「自然環境保護と地域共生社会の実現を目指し、エゾ鹿革の製品を製造する活動」

認証商品
ショルダーバッグ、ワインブック、ランチョンマット、ソムリエエプロン、ゲストブックバインダー

認証活動
獣害対策として捕獲されたエゾ鹿の革を利活用し、様々な革製品を製造する活動。独自の高いデザイン力と技術力によって、日用品のほかジビエを扱うレストランで使う数々の革製品を生み出し、その利益を地方に還元することで獣害対策に寄与している。

評価ポイント
エゾ鹿革の特長を生かし、価値ある革製品へと昇華することで、 鹿革の魅力を訴求しながら社会への提言を行う活動である。

認証活動名
「日本の伝統技法「網代編み」を革製品に表現し、古来の文化やデザインを現代に伝える活動」

認証商品
アジロ編みグレインシリーズ

認証活動
笠や籠など、薄く細く加工した竹を縦横に編み込む「網代編み」を革で再現した製品を製造する活動。実際に革を編み込んでいるわけではなく、型押しによってそれを忠実に再現しているものである。

評価ポイント
古来の網代編みを型押しによって忠実に再現した革製品の製造活動であり、希少価値が非常に高いと考えられる。

事業者名/すみだクリエイターズクラブ

https://sumida-cc.com/

認証活動名
「まちのデザイン力を向上させる『すみだクリエイターズクラブTシャツ展』の活動」

認証活動
本区の魅力発信やクリエイターのスキル向上等を目的に、個性豊かなTシャツを製作し、展示する活動。

評価ポイント
多くの人に視覚的・感覚的にものづくりの魅力やデザインの奥深さを訴求しており、これをきっかけに区内の産業に関わりたい等の想いを持ったクリエイターが外部から入ってくるといった好循環も起きている。

事業者名/株式会社谷口化学工業所

https://www.taniguchi-kagaku.com/

認証活動名
「自然由来の原料からレザーケア用品を製造し、モノを大切にする心を育む活動」

認証商品
自然から作ったシリーズ

認証活動
シアバターやミツロウ等自然由来の原料から、革製品全般に使えるジェルやクリーム等を製造するとともに、それを使った手入れ方法をワークショップで広めていく活動。

評価ポイント
業界最古の靴クリームメーカーとして、製法へのこだわりは守りつつ、サステナブルと環境保全を意識した活動を首尾一貫して実践している。

事業者名/株式会社甲人

https://www.yoroi-koujin.com/

認証活動名
「鎧兜の伝承製法とデザインを生かし、日本の伝統文化を身近に感じる製品を製造する活動」

認証商品
鎧手許(バッグ、名刺入れ)

認証活動
鎧兜の製造技術を活用し、現代の人々が日常使いできる商品を製造する活動。独自の技術を生かした商品を製造し、いにしえからの文化と伝統技術に現代の人々が想いを馳せる機会を創出している。

評価ポイント
先代からの独自の製造技術を継承し、鎧兜の製造業界で一定のブランドを確立させている本事業者は、国内唯一の女性甲冑師であり、東京都優秀技能者(東京マイスター)にも選出されている。

事業者名/キップス株式会社

https://kips-web.com/

認証活動名
「東京手描き友禅の技法と現代技術を活用し、サステナブルな製法でTシャツを製造する活動」

認証商品
some-priTシャツ(デジタル友禅Tシャツ)

認証活動
東京手描き友禅の魅力と持続可能なファッションを伝えるため、独自のアパレル製品を製造する活動。製品デザインには、東京手描き友禅の絵師が描いた絵を採用し、それをデジタル化して印刷することで日本の伝統技法の魅力を伝えている。

評価ポイント
東京手描き友禅を現代のプリント技術を活用し、T シャツというカジュアルな領域に落とし込んでいる点は独創的で、100 年企業でありながら柔軟な発想を兼ね備えている。

事業者名/廣田硝子株式会社

https://hirota-glass.co.jp/

認証活動名
「独自の研究による製品作りと美術館での展示を通じて、『和ガラス』の魅力を伝える活動」

認証商品
なつかしのガラス瓶シリーズ(招き猫・地球瓶)

認証活動
本区の地場産業であるガラス産業を「和ガラス」の伝統製法と魅力の訴求 を通じて、長く守り続けていく活動。同社内に開設されている「すみだ和ガラス館」においては、創業時から収蔵する貴重な文献や多様なガラス製品の展示も行い、ツアー客なども含めて多くの人々が来館している。

評価ポイント
大量生産でのガラス製造が主流の現在でも、江戸切子や江戸硝子職人による伝統製法を継承しつつ、現代の生活に合った商品を提案し続けている。

事業者名/株式会社エー・ディー・ピー

https://adp3000.com/

認証活動名
「クリエイティブな発想とサステナブルな製法で、独自のアパレル製品を製造する活動」

認証商品
北斎アロハ、サステナブルシャツ、感覚刺激Tシャツ

認証活動
ファッション産業による環境負荷の軽減へのチャレンジとして、新しい価値を伝えるリメイク・リサイクル製品を製造する活動。規格外生地や中古衣料の活用のほか、障がい者アートの採用等、クリエイティブな発想にあふれる商品を製造している。

評価ポイント
規格外の高級ちりめんの活用や障がい者アートの採用のほか、クリエイティブな古着のリメイク等、独自性の高い活動を幅広く実践しており、 業界や他事業者へポジティブな刺激を与えうる。

「SUMIDA INNOVATION CORE」と「すみだモダン」

うららかな日差しが降り注ぐ3月半ば、錦糸町にあるスタートアップ支援施設、「SUMIDA INNOVATION CORE」には、「すみだモダン2023」の認証者たちが続々と集まっていた。

会場は、これから始まる授賞式を前に少し緊張した面持ちの人や、にこやかに談笑する人などでにぎわっている。

会場で、活動と商品について来場者に説明するキップス株式会社の田中康雄さん。

「ただいまから、『すみだモダン2023ブランド認証式』を開催いたします」。「すみだ地域ブランド推進協議会」南部友孝事務局次長(墨田区産業観光部産業振興課 課長)の晴れやかな発声とともに式がスタートした。

始まりの挨拶は山本亨墨田区長だ。

「お集まりの皆様方には、日ごろから墨田区の活動に力強いご協力とご支援をいただいておりますことを、まずもって感謝申し上げます。先ほど、ここに展示されている認証商品を拝見しましたが、墨田区の産業、ものづくりのブランド力の向上にふさわしいものが選ばれたということで、私自身とてもうれしく思います。認証を受けられた事業者の皆様に心からお祝いを申し上げます。今後、区としても、積極的に認証商品の販路拡大、事業者の皆様のご支援に努めていければと考えています」

山本亨墨田区長。

祝辞に続けて、区長は今回の認証式の会場が「SUMIDA INNOVATION CORE」になった理由を以下のように語った。

「この施設は『ものづくりのまち』としてのすみだの成長を支えてきた、技術や人材、地域ネットワークを活かしながら、スタートアップ企業を力強く支援していく場所です。従来の区内事業者との交流や共創を通して、すみだのPRや新しい産業集積、アップデートにつながることを目指しています。今後は、こうした事業者同士の共創や連携によるコミュニティの運営に力を入れてまいりますので、来年度からの『すみだモダン』の事業に、引き続き積極的にご参画いただき、すみだの産業振興の一翼を担ってくださいますようご期待申し上げます」

社会的価値のある活動あっての商品認証という2段構成

式典では「すみだ地域ブランド推進協議会」理事長および「すみだモダンブランド認証審査会」審査員、水野誠一さん(IMA代表取締役)から受賞者を代表して株式会社谷口化学工業所・谷口弘武さんへ認証盾が授与された。

水野誠一理事長から、ブランド認証事業者を代表して盾を受け取った株式会社谷口化学工業所の谷口弘武さん。

今回のブランド認証に際しては8名の審査員が慎重に協議を行った。※(有)ヒロタデザインスタジオ代表取締役、廣田尚子氏は認証式は欠席。

まず、「すみだ地域ブランド推進協議会」副理事長および「すみだモダンブランド認証審査会」審査員長の田中一雄さん(株式会社GKデザイン機構 代表取締役社長)が2023年度の総評を述べた。

「すみだモダンブランド認証審査会」審査員長の田中一雄さん。

「『すみだモダン』も2021年より第2ステージに入り、活動認証という形をとったことで少しわかりにくくなったというお声も聞きます。今年はかなり具体的な商品も出ているので昔に戻ったと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、基本は活動が認証されたうえで商品の認証がある、という2段構成になったということです。そういう意味では、より高いハードルを越えてこられたということだと思います。審査では、ものづくりにおいて社会的価値をいかに実現しているかが重視されていると感じました。そのうえで、具体的な商品は『すみだブランド』としてのクオリティをきちんともっているかということが、審査会でも議論になりました。『活動が良いから、商品も認証する』ということではないのです。あくまでも『墨田区のブランドとして質の良いものを作り続けていく』、 そういうことがとても大切ですので、この新しい取組について、皆さんに広く認識していただけたらと思います」

「すみだモダン」のブランド認証を生かし、長く歩み続けることが大切

国立大学法人千葉大学教授/デザイン・リサーチ・インスティテュート センター長の植田憲さん。

今回初めて審査員として参加した、植田憲審査員(国立大学法人千葉大学教授/デザイン・リサーチ・インスティテュート センター長)は、「2021年に墨田区にキャンパスを構えたことで、すみだのものづくりの確かさ、歴史の重さ、事業者の皆様の頑張りと行政が皆様を支えるシステム、それを支える周りの方々と、非常に多くを学んだ3年間でした。そうした中で、『すみだモダン』ブランドの今年の代表に、皆様の活動や作品が選ばれたというのは非常に価値のあることだと感じています。これらの商品を通して、ほかの地域ではなかなかできないものづくりの確かさを感じることができました」と、認証事業者への賛辞を述べた。

GENERATION TIME株式会社代表取締役の坂口真生さん。

エシカルディレクターの坂口真生審査員(GENERATION TIME株式会社代表取締役)は、この賞をぜひ役立ててほしいと語る。

「現在はコロナ禍が明けてきて、意識がすごく外に向いている状況ですが、サステナビリティは自分の内側の世界をしっかりと見つめていくことだと思っています。この外に出る意識と内側を見つめ直す意識のバランスをとっていく時代が今なのではないかと。環境問題やグローバルな考え方のヒントはそこにあると思うのです。そして、『すみだモダン』は、いい意味で内側に向いていけるものではないかと感じています。ポテンシャルがすごくあると思いますので、この認証を使ってコミュニケートしていただくことで、さらに進化していくのではないでしょうか」

MASAMI DESIGN代表取締役の髙橋正実さん。

墨田区で生まれ育ったデザイナーの髙橋正実審査員(MASAMI DESIGN代表取締役)は、「墨田区では古くから、精神性を込めたものづくりやSDGsといったことが行われていました。私は『ブランドとは』と聞かれたら『信頼』とお答えしているのですが、この墨田区には皆さんの活動のような『信頼へとつながっている本物のブランド』が数多く存在しています。地域が共通の意識をもって目的をひとつに行動していくということも、墨田区は非常に早くから取り組んでいると思います。働くということは、経済活動だけではない、人生そのものや、地球全体のことにつながっています。多くの先人たちがずっと積み重ねてきたことをこれからの未来へも繋いでいくためにも、皆さんが世界の先頭に立って長く歩み続けていただきたいと思います」とエールを送った。

新しい時代の中で、これから必要とされるモノをすみだから発信

続いて「すみだ地域ブランド推進協議会」理事兼審査員で墨田区役所産業観光部 部長、郡司剛英さんから、この認証式の会場となった「SUMIDA INNOVATION CORE」についての説明があった。

墨田区役所産業観光部 部長、郡司剛英さん。

「この会場が入る『ヒューリック錦糸町コラボツリー』は2023年1月に完成した地上7階建てのオフィスビルになります。実は、ここは昔、『錦糸土木事務所』という場所でした。墨田区には2カ所の土木事務所がありましたが、ここは南部を中心とした道路や公園の補修や管理を一手に引き受けていたところです。時代が進むにつれて、材料が良くなり手がかからなくなってきた分、民間委託で賄える部分も出てきました。そこで直営であった土木事務所を集約し、この空いた一等地に産業のための施設を造ることになったのです」

「結果、土地は墨田区が持ちながら、民間主導の産業振興施設を造りたいというヒューリック株式会社の提案を受け入れて、この建物が建ちました。ここは4階ですが、1~3階は『アストロスケール』という会社が入っています。『すみだモダン』と非常に親和性が高い会社で、第1弾の『すみだモダンブルーパートナー』が『アストロスケール』さんなんですね。スペースサステナビリティという形で、宇宙ごみを解決するというような、まさに全地球規模の課題を解決するような会社が入るビルができたわけです。そういう意味では、世の中の流れに合わせて時代がどんどん変化し、その時々で必要なものや注目される部分は変わってくるのだと思いました」

郡司さんが「すみだモダン」を担当するのは2度目だ。1度目は今から10年前。当時は「モノ」を極める時代だったため、「モノ」の認証をしっかりとやり、どうやって海外へと発信していこうかという活動を行っていた頃だった。そして2年前、認証の是非を検証し、新しい認証の形へとシフトするときにふたたび着任し、「新生すみだモダン」の認証活動を力強くバックアップしている。

「『新生すみだモダン』は、新しい時代の中で、これから必要とされるもの、必要とされる技術、必要とされるデザインが、今後、墨田を中心として世界に発信されていくと信じています。そして行政として私も、しっかりサポートしていきたいと考えています」

物語がしっかりしているモノが本当に評価される時代へ

同じく「すみだ地域ブランド推進協議会」理事兼審査員の中田清史(せいし)さん(東京東信用金庫 理事長)は、「『すみだモダン』の定義にふさわしい素晴らしい活動だった」と取組を絶賛。

東京東信用金庫 理事長の中田清史さん。

「今回、廃棄されるものを再利用したり、また新たに価値を加えたアップサイクル、また、リメイクにより長期間にわたって使用できる製品などを作られており、こうした多くのサステナブルな取組が墨田区において行われたことを大変誇りに思います。また、この素晴らしい活動を国や自治体、公的支援機関などにネットワークをもっている私たちを活用してアピールしていただき、新たな事業の創出やさらなる地域経済の活性化につながってほしいと思いますので、今後ともよろしくお願いします」

すみだ地域ブランド推進協議会理事長の水野誠一さん(IMA代表取締役)。

最後に、水野理事長による激励が結びの言葉となり、認証式はお開きとなった。

「皆様、本当に今日はおめでとうございます。 冒頭、田中審査員長が申し上げた、モノなのかコトなのか、モノなのか活動なのか、これは、非常に重要な定義だと思っております。モノには、必ずその裏に物語がなければダメです。物語のないモノも世の中にはあふれていますが、やはり物語がしっかりできているモノがこれからは本当に評価され、買われ、そして使われる時代になっていることを感じています。ここで認証された皆さんは、その物語を大切にしながら、長い間真剣にモノを作ってこられた力ある企業だと思います。 さらに言えば、皆様1人1人がその物語を継いでいる方々だと思っています。これからは顔の見えない商品は信用できない。皆さんの顔が見えて初めてそのモノが光り輝くということですし、まさに皆さんの物語によって心が揺さぶられるような商品になります。それを通じて私たちはさらに心を揺さぶる活動をしていかなければというようにつながっていくのではないでしょうか。これから共に、さらに物語を紡いでいきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします」

ブルーパートナーとなった事業者の声

「サステナブルと環境保全の一環として、自然由来の原料にこだわった高品質なクリームの開発に取り組んできたことを、『すみだモダン』に認証していただきました。区の活動の認証をいただけたことで、自社の活動にとって心強い応援団がそばにいてくれている気持ちです」と喜びを語るのは日本最古の靴クリームメーカー「株式会社谷口化学工業所」の谷口弘武さん。

会場で活動と商品の説明をする株式会社谷口化学工業所の谷口弘武さん。

「ブルーパートナー認定という形で自分たちの取組を応援していただくので、より魅力的な発信で、しっかりと結果につなげていきたいです。そして、この認定がもっともっと価値あるものになっていくような事業者になりたいと思います」と決意を新たにしていた。

「すみだクリエイターズクラブ」でコピーライティングを担当している三井千賀子さんは、「商品やメニューが認証の対象だったころ(2010年~2018年)は全く縁がないと思っていたのですが、2021年より活動を認証するようになったと伺って、『まちのデザイン力を向上させる“すみだクリエイターズクラブTシャツ展”の活動』で応募しました」と、そのきっかけを教えてくれた。

「私たちは地域をすごく愛していて、地域の企業の方や『すみだモダン』など、いろいろな活動を通してすみだのものづくりに活かしていただけたらよいなと思いながら、みんなで協力して10年間やってきました。畑違いかな?と一瞬考えましたが、地域でいろいろなクリエイターが集まっている団体というのは、ほかの地域であまり聞かないため、そこがすみだらしいかなと思ったのです。お店の方や企業、行政ともつながって、みんなですみだをブランディングしていこうという気持ちが強いクラブです。そこを認めていただけたかなと思うと、本当にうれしいです。『すみだクリエイターズクラブ』は、プロダクトデザインを考えるだけでなく、ロゴを作る、ネーミングを考案する、ホームページを作る、キャンペーンを組み立てる、コンセプトを考えるといった分野でのプロフェッショナルが集まった集団です。今回の認証をきっかけに、今後はメンバー一人ひとりがこのことを意識して取り組んでいけるようにしたいと思います」

「すみだクリエイターズクラブ」の三橋美也子さん(左)、三田大介さん(中)、三井千賀子さん(右)。
Text: Masami Watanabe
Photo: Sohei Kabe
Edit: Katsuhiko Nishimaki / Hearst Fujingaho
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